産科

　当院は分娩一次取り扱い施設として一般産科診療を取り扱っています。

　分娩は基本的には自然陣痛発来を待機しますが、分娩予定日を超えた場合は妊娠40週台に分娩誘発を計画的に実施しています。また前期破水の未陣痛発来症例や分娩進行が緩徐な症例も、必要に応じて適宜陣痛促進剤を使用して医学的介入を行います。

　基礎疾患合併や高度肥満、早期前期破水(妊娠36週未満)、多胎妊娠、前置胎盤、胎児異常などのハイリスク妊娠については高次医療機関へ御紹介しており、当院では対応しておりません。

　産まれた赤ちゃんは、母体の体力回復ならびに感染制御の観点から母児別室管理にしています。入院中に異常所見が見られた場合は、小児科医の診察・治療を受けるために転院措置が必要になることもあります。

　出生前検査としては、胎児超音波、感染症検査のみならず、クアトロ検査、羊水検査、ならびに母体血を用いた非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT検査)を実施しております。通常の外来診療時に医師にご相談ください。

　 尚、NIPTは、赤ちゃんが生まれる前に、一部の遺伝学的な疾患について母体血を用いて調べる検査です。日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会（以下、運営委員会）は出生前検査を受ける妊婦さんとパートナーへのサポート体制、遺伝カウンセリングや検査の質や正確さをより確かなものにするための組織です。2021年、国の専門医委員会「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の報告書に基づき、日本医学会の元に設けられ、こども家庭庁と連携して活動しています。下記サイトは妊婦さんやご家族のためのサイトです。出生前検査の種類や受けた方、受けなかった方の生の声、相談先、生まれながらに病気のあるお子さんとの暮らしや福祉についての情報を提供しています。

　当院は上記の運営委員会が策定した「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設（医療機関・検査分析機関）認証の指針」の要件を満たしており、検査の結果に応じて基幹施設である千葉市立海浜病院と連携し対応する「連携施設」として公式に認証されています。

　基幹施設では、可及的速やかに羊水検査等を提供していると共に、NIPTだけでなく包括的な産科・周産期診療の一連の流れとして以下のような医療、支援を提供できる体制を構築しています。(1) NIPTだけでなく、妊娠継続時は妊娠中の様々な不安や懸念にも出産まで対応します。(2) NIPT検査前または検査後に超音波検査で何か異常が見つかった場合の対応も含め、多職種でのサポートを提供します。(3) 必要なときには出生後にお子さんの治療に当たる小児科・小児外科などの専門家と妊娠中から連携すると共に、臨床心理士や社会福祉士などと共に身体面、社会面、心理面でサポートします。(4) 13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーを含む障がいを持つ方々に対する差別を防止し、すべての人が共存できる包括的な社会の実現というノーマライゼーションの理念に基づく医療の提供を目指しています。尚、NIPT認証施設についての詳細はこちらをご覧ください。

　当院で妊娠管理をされている方のみを対象に、専門外来（毎週土曜日13:30〜、14:00〜）にて日本産科婦人科遺伝診療学会認定の出生前検査に関する研修を終了した院長 吉田昌史が完全予約制で必ず妊婦さんとパートナーと一緒にカウンセリングを実施した上で行っています。検査を一方的に勧めるあるいは抑制するのではなく、検査の利点と限界を全てお伝えし、それぞれの方が納得して選択できるようお手伝いします。検査そのものに不安を持つ方にも可能な限り寄り添いますし、場合によっては遺伝カウンセリング後に検査を受けない選択も尊重します。また、出生前に詳しく小児科の先生のお話を聞きたい方については、基幹施設の千葉市立海浜病院 新生児科統括部長 岩松利至 医師（日本小児科学会認定 出生前コンサルト小児科医）へ生まれてからのケア（医療や福祉のことも含め）について詳しくお伝えできるようご紹介します。

　現時点では検査精度、安全性、そして医学的意義を考慮して、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーのみを検査の対象としています。(2025年5月12日現在)